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No.9 失われた地方移住支援金

2023/01/15(日)

国は、地方移住を促す政策のひとつとして、「地方移住支援金」給付事業を展開しています。北海道では127市町村が対象地域となっていて、移住した市町村を通じて北海道に支援金を申請し需給する仕組みになっています。人口の東京一極集中を是正すべく東京23区に居住、あるいは勤務していた人が対象となります。移住対象となっている市町村に移住することと、移住先にあるマッチングサイト掲載企業に就職することなどが条件です。

 これらの条件を満たすことで1世帯100万円(単身世帯60万円)の支援金が支給されます。市町村によっては、18才未満の子ども(但し18歳の高校生は対象)ひとりにつき100万円が加算されます。また、北海道の起業支援事業「地域課題解決型起業支援金」の交付決定を受けて起業をした方には300万円が支給されます。

 この移住支援制度について、標茶町の転入窓口では対象となる首都圏からの移住者に情報を提供していません。支援金の支給申請は、移住から一年以内に行わなければならないし、支援金の基本部分を負担する北海道や加算部分を負担する各自治体の予算の範囲となります。現に昨年10月で北海道の予算上限を超えたため、市町村窓口での支援金申請受付を停止しています。

北海道のホームページを見ると標茶町の窓口は役場観光商工課です。制度の案内は住民課の窓口で行われるべきと思います。人口減少を食い止めるため移住を促進すると声高らかに表明している標茶町。代表的な施策としては、保育料と大学生までの医療費無料化、学校給食費無料化など、異次元の子育て支援によって子育てし易い町として「子育て世代」に移住をアピールしているはず……なのに……

 転入者は、転入窓口で地方移住支援金の制度を知らされなければいったいどうやって情報を得るのか?すべての移住者が「移住相談」を経ているわけでもないし、対象となる首都圏からの転入者がいったいどれ程の数か?窓口業務を著しく増やす程か?既に支援金の権利を失った可能性のある移住者が複数います。数百万円の支援金が水泡に帰したかも知れません。無料化のように単純現金を配るような施策を積極的に進める一方で、ひと手間かかるものの町の財政負担が少なくて済む移住支援に取組まないというのは矛盾しています。

当該移住者は、地方移住支援金を受けられないことへの失望もさることながら、標茶町に対する不信感を抱いてしまうでしょう。

大きな希望とは裏腹に、衣食住にはじまり北国での暮らしそのものに不安を抱えている移住者もおり、些細なことにも力を貸してくれる最初の関係が「標茶町(行政)」であるべきです。だとしたら前述の地方移住支援金に関する町の対応はその期待を裏切るものでしかありません。遡って実態を把握して対応を見直すべきです。今からでも心のこもった本気の移住政策を進めましょう。