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No.10 塘路小中学校の統廃合問題

2023/01/30(月)


 塘路には、小学校と中学校の並置校(小中学校)が町により設置されています。塘路の「学校」は、明治27年、私立組合学校(貫誠社代表)が設立されて以来125年間、標茶町発祥の地にしっかりと根を張り多くの人材を輩出し、地域の発展に貢献して来た歴史があります。

現在、その塘路小中学校について統廃合が検討されています。この春、中学校入学者がいないことから、当分の間中学校が休校となることはやむを得ないこととして地域でも了解されていました。しかし、唐突に「小学校の廃止」が議論されるようになりました。きっかけは、中学校の休校について標茶町教育委員会とPTA役員が打ち合わせる中で「小学校の在り方についても地域の意向を確かめる必要がある」となったからとされています。

昨秋から数回に亘り、標茶町教育委員会と地域住民、さらには標茶町と地域住民による協議の場が設けられてきました。地域住民からは「中学校の休校についてはやむを得ないが、小学校については児童数が統廃合協議の基準に達しておらず問題なく存続されると認識していた」「唐突に小学校の在り方に関するアンケートが配布され驚いている」「教育長名でなく担当課長名でのアンケート調査ということで、教育委員会としての方向性が不明」「町有地を整備して分譲し、移住者を塘路に呼び込むという町の移住政策上学校は必要不可欠なのでは」といった疑問や疑念が噴出しました。

また、こうした地域住民との議論が続く最中、塘路小学校に子どもが通う阿歴内地区の保護者に対して、暗に中茶安別小中学校への校区変更を促す「根回し」が教育委員会によって行われたのではという疑惑が浮上。阿歴内地区の児童が中茶安別小中学校に通うようになれば、塘路小学校の児童数が統廃合協議の基準に達することから、教育委員会として積極的に廃止を進めようとしているのではとの不信感が住民の間に充満しました。

「根回し」について否定する教育委員会の姿勢に、当事者である阿歴内地区の保護者は、不信感を露わにしています。

町は、塘路地区を移住促進の重点地域と位置づけ、町有地の分譲などを進めるとしてきました。背景には、16万人が暮らす釧路市と管内町村では人口が最多の釧路町と国道391号線とJR釧網線で結ばれていることに加え、釧路湿原国立公園の真っ只中という環境の魅力があります。

さらに、千島海溝と日本海溝で巨大地震と津波が発生した場合に釧路市、釧路町で発生すると予想されている被害の規模を考えた場合、両自治体への通勤圏ないである塘路は津波の被害を避けたい人々や企業の移住先になり得ます。このように移住の理由はさまざまありますが、塘路にはそれらを受け止める懐の深さがあります。

当然、塘路の学校の行く末は、子供の幸せが最優先です。しかし、地域における学校の果たしている役割や、移住先としての可能性についても慎重に考えなければなりません。しっかりと時間をかけて議論すべき重要な案件として注目しています。