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No.14 Welcome!冬の湿原号

2023/03/06(月)

 新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き始めた121日から、多くの観光客が「SL冬の湿原号」で標茶町を訪れています。「SL冬の湿原号」は運行がはじまった2000年から23年目となるまさに冬の風物詩です。

試運転の段階で、SLの魅力のひとつである汽笛の音に沿線で飼われている和牛が驚いて暴走する事件がありました。運行本番に向けて沿線酪農家との調整にあたったことが懐かしく思い出されます。

駅前の通りにバナーが掲揚され、観光協会ではオリジナルグッズを作成しました。地元商店会や物産関係者と協力して駅前に屋台村を出店するなど、200018日の運行開始に町ぐるみで熱く取り組んだことを鮮明に記憶しています。

 そんな地元の気運とは裏腹に、SL冬の湿原号で標茶町を訪れる観光客の多くは、駅前で待ち構えている観光バスに丸ごと飲み込まれて行きました。観光による賑わいに大きな期待を抱いたのも束の間、実際は通過点に過ぎないという現実を運行日毎に突きつけられました。やがて屋台村は姿を消し、今ではツアー以外で訪れたSLマニアや一般観光客が1時間半当てもなく町内を彷徨っています。

「楽しむ」とか「満喫」という言葉が思い浮かばないのは、町としては特段の「もてなし」を用意していないことの申し訳なさからです。ただ、盛り上がりと言う点では運行開始時と比較にならないものの、地元有志によるおもてなしが定着していることは標茶町の観光の在り方にとってひと筋の光といえます。

今後は地道に続くもてなしの取り組みがSLの旅という非日常とあいまって、駅前商店街を中心に経済を伴う「観光事業」として成立するよう考えなければなりません。

 SL冬の湿原号で標茶町を訪れる人の中には、いわゆる「撮り鉄」が含まれます。ツアー客と違い、駅前商店街で昼食を食べてお土産を購入する人たちです。乗車せず車でSLを追う人たちも少なくありません。以前SLが川湯まで運行していたとき、雪原を疾走する馬と並走するイベントが人気で、臨時の駐車場が必要になるほどでした。

憩の家が営業していた頃は、JR茅沼駅付近のタンチョウとエゾシカとSLを同時にカメラに収めることができる撮影ポイント付近の町道に車列ができていました。SLだけでなく馬もエゾシカもタンチョウも非日常であり、貴重な観光資源であることが分かります。

JR標茶駅から徒歩で10分ほど行くと、国の特別天然記念物「タンチョウ」が50羽ほど群れを成している場所があります。その中に「黒いタンチョウ」が混じっていて、マニアの中では撮影対象になっています。知る人ぞ知る「真っ白いカラス」もまたしかり。常盤橋から上流を見やれば、阿寒の山々を背景に釧路川の両岸に美しい「樹氷の華」が咲きます。

立派な施設造りやタスキを掛けて闊歩するパフォーマンスもさることながら、こうした「冬の観光資源」と「豊かな食」を活かしたもてなしの仕組みを、官民で至急構築すべきです。