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No.15 行列ができる店「コープはまなか」

2023/03/15(水)


 浜中町茶内の「コープはまなか」がリニューアルされました。2005年から茶内地区に店舗を構え地域の台所を支えている同店ですが、浜中ブランドの海産物や乳製品を100種類以上揃えていて、地元民だけでなく観光客が訪れることでも知られています。

何よりここを有名にしたのが「ハーゲンダッツと同じ原料で作るソフトクリーム」です。夏の観光シーズンともなれば売り場に行列ができることもあるそうです。地域の台所の枠に収まらない人気店は、JA浜中の子会社が同地区内のコンビニエンスストアとともに運営しています。

 標茶町は、令和5年度の町政執行方針に「物産販売拠点の整備」を謳いました。事業予算として「特産品開発支援助成金」200万円が計上されるなど、豊かな食材を活かした特産品開発によって、生産者や加工業者、販売店の意欲を喚起しようという意欲を感じます。

ただ、このことが「道の駅」構想の布石という短絡的な施策であってならないと思います。コロナ禍直前の2018年、町と生産者団体は「食品加工施設」と「道の駅」を隣接させる構想を明らかにしていました。

「食品加工施設」は生産者団体が受け持ち、「道の駅」は町長の公約として実現を目指していましたが、「食品加工施設」は酪農を取巻く情勢の悪化により計画は凍結されています。

「道の駅」については、そもそも「食品加工施設」とのセットメニューでしたから中断は仕方ありません。ミルクプラントの建設も含め、酪農の「6次化」を加速させ、ふるさと納税を中心に「外貨獲得」を構想したわけです。

しかし、現時点では酪農自体の存続を最優先せざるを得ない状況が続いています。この間に町民の「何かできないか」「何かできそう」という機運を盛り上げ、研究を進めることに時間と予算を割くのはとても大切なことです。

「特産品開発支援助成金」と併せて、駅前周辺の空き店舗や開発センターの調理室に食品加工の機器を導入すれば、特産品開発に取組む町民が増えて活気づくのではないでしょうか。

「特産品開発」と大上段に構えず、今ある物に磨きをかけ、町民のアイデアを形にするきっかけになればよいのです。それがしっかりと根を張った経済活動につながって行くことが大切で、簡単にブランドが産まれると考えてはいけません。

 「道の駅」構想については、過去に物産販売に関わる町民などから具体的且つ強い要望がありました。実現に至らなかった理由は、町が郊外への「道の駅」開設に否定的だったからです。

駅前商店街の衰退を加速させる懸念や、人気観光スポットである多和平に物産展示施設として「グリーンヒル多和」を開設していたこと。憩の家かや沼でも地元の特産品を積極的に扱っていたことが影響していたと思います。

もうひとつ、標茶の食材を活かした食材供給施設「オーベルジュ・ピルカとうろ」の運営が軌道に乗っていなかった点も、財政的に「道の駅」を否定せざるを得なかったというのが本音だったかも知れません。ちなみに当時の担当課長が現町長というのは、どこか因縁めいています。

「コープはまなか」の行列から、「器」より「中身」が大切なのだと学びたいものです。