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No.18 憩の家 再開の鍵

2023/06/11(日)

 憩の家は、昨年10月に施設の改修が完了しました。今は、令和69月頃の開業を目指して周辺の環境と関連施設の整備が続いています。注目の事業費は、16億円超えが確実です。
ただ、開業前なのに落雪によって冷暖房設備が破損、原因不明のすが漏りが発生するなど先が思いやられます。こうした予定外の出費もあるので、経営者決定後の従業員住宅建設や車両購入などを合わせると事業費総額は17億円に限りなく近づくでしょう。

それにしても、これから調査設計が実施される温泉排水の排出路には国立公園内故の高い壁が立ち塞がりそうです。

「国立公園内の希少な動植物と植生に与える影響の調査」について関係機関から「大きな影響がない」とお墨付きをいただいているようですが、温泉廃水をどれくらい冷まして排出するかによるわけで、四季を通じて実際に流してみないと結論は出ません。

「埋蔵文化財の所在確認」については、試掘調査を行わないようです。掘削工事に博物館職員を立会させ、遺物が出れば都度確認作業を行うとのことですが、遺構(竪穴住居跡など)を発見した場合は工事が中断します。

「下流域の飲料水取水源に与える影響と関係自治体との協議」については、電話で問い合わせただけで「特に問題ない。必要な手続きもない。」との回答を得たそうです……………が、排出する廃水の内容が従来と異なることは伝えていないそうです。それで大丈夫?と心配になります。

では、最善の温泉廃水の排出先はどこなのか。今更ですがそれは、大根畑の中にある従来の排水池と排出路以外に考えられません。そこしかないのです。

町が現在構想している新しい排水路の問題点の多くが該当せず、残る課題も容易に解決できるのですから、迷う必要などないのです。

温泉廃水を「単なる廃水」ではなく、「貴重な熱源」と捉えるだけです。

標茶町の大根は、加工用として全国区の注目株ですが、生産者としては、単一作物の作付面積拡大には不安があるようです。また、大根の露地栽培は10月で終了するため、冬季間の雇用が維持できません。結果、一年毎の人材確保を余儀なくされており、大きな課題となっています。

大根以外の作物を栽培するのに必要な温室やビニールハウスといったインフラを、町が整備して貸し出せば畑作農家の経営基盤の安定化が図られます。さらに温泉廃水を「熱源」として利用すれば、標茶町の畑作にとって最大の課題であった通年営農が可能になるので、町外に居住している農業従事者の町内定住が進むはずです。

併せて、畑作に対応した新規就農研修施設を整備すれば、温泉熱を利用した野菜や果樹、花卉栽培といった標茶町にとっての新しい農業分野の開拓と人材確保にもつながるのではないでしょうか。

 排出先の大根畑は、90年以上続く農家が命の次に大切にしてきた土地。それでも、この先100年の構想を持って交渉に臨めば必ず道は拓けます。要は誠意です。