トップページ > お知らせ一覧 > 旧『みつのぶ の きまぐれコラム』-残暑お見舞い申し上げます。2022年8月25日文章

旧『みつのぶ の きまぐれコラム』-残暑お見舞い申し上げます。2022年8月25日文章

2022/08/25(木)
残暑お見舞い申し上げます
2022/08/25(木)

標茶の8月は、お盆が過ぎると一気に秋の気配が漂うのですが、今年は少し様子が違います。間もなく9月というこの時期に、日中の気温が25℃を超える日が続き雨も頻繁に降る。高温と多湿に弱い乳牛へのダメージは深刻です。

ダメージのバロメーターとして、体細胞の増加には注意を払いたいものです。食欲が低下していても体を削って乳を出す、そんな健気な乳牛ですが、無理をすれば当然体調に異変が生じます。乳牛検定をされている方におかれましては、是非「※ 体細胞数の変化」から乳牛の体調を把握してください。

 また、雨が多いことで牛舎外のパドックや放牧地の水槽周辺は、ぬかるみとなりやすく「サルモネラ菌」や、「※ PDDウィルス」の温床となります。実態に合わせて可能な対策を講じてください。

「サルモネラ菌症」については、日頃から軟便と下痢を区別する癖をつけることが大事です。軟便と下痢は、便の含水率(下痢は含水率90%以上。排便時に放物線を描く)によって区別します。生臭い便、腸管内の出血によって暗褐色の便も正常とは言えず、「サルモネラ菌症」を疑うべきです。

疑わしきは「まず検査」。これがまん延防止につながります。二番草の収穫もありお忙しいことと思いますが、当分の間厳重な警戒が必要です。

注(言葉の意味)
※PDDウィルス
PDD(乳頭状趾皮膚炎)は、蹄病の7割を占めると言われる病気です。スピロヘータ菌の関与が有力視されていますが、原因は特定されていません。病変が「イチゴ状」に腫れる特徴から「イチゴ」とも呼ばれています。患部の痛みによって跛行、食欲減退などが起こり乳量の減少にもつながります。

決定的な治療法がないのも酪農家を悩ませます。パドックや牛床のぬかるみが原因菌の温床になるほか、糞や泥で患部が覆われることが原因菌を増殖させると言われています。予防には、蹄浴や蹄のコーティングが有効なようです。

※乳牛検定での体細胞数の変化
(1)高品質生乳の生産→◎体細胞数の改善とは、乳質を高めて消費者に「おいしさ」を提供するものです。生乳需要の拡大、さらには有利な乳価にもつながります。
(2)生産寿命の延長→◎体細胞数は加齢とともに増加する傾向にあるため、体細胞数の改善を行わないと働き盛りの産歴の高い3産以上の牛を失うことにつながります。
(3)乳量損失の削減→◎体細胞数が増加すると泌乳量は減少します。体細胞数を改善することで本来の泌乳能力を発揮できます。
(4)治療費などのコスト削減→◎乳房炎に罹患すると、その治療費や、それに費やす管理者の労働力も無駄になります。