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No.27 釧路新聞読者コラム『番茶の味』から-2

2024/04/03(水)


「標茶町育成牧場の使命は」


『切り札』

標茶町育成牧場の使命は「強く逞しい乳牛を育てること」です。

具体的には、放牧と粗飼料給与、さらには予防に重きをおいた飼養管理を行います。現在3産に満たない町内の乳牛平均産次数を4産に引き上げることが目標です。

「1産増」の経済効果を試算すると、200~300万円/頭になります。

国際競争の激化が懸念される中、これは強力な「切り札」となるはずです。目標達成に向け次のとおり飼養規範を定めています。

一に「栄養」、二に「環境」、三、四がなくて、五に「予防」。

理想の酪農郷を目指して

~平成26年12月1日掲載分~

 

平成15年、今西 猛 町長から「牧場民営化」という特命を与えられた表 武之 氏が育成牧場長として配属されました。

3年かけて施設の再整備が終了した平成17年、JAとの民営化協議が破綻します。結局、「金食い虫」のレッテルとともに町が引き続き運営することになりました。

 民営化を達成できなかった表場長は、「ならば」と牧場の黒字化に取組みます。育成牧場の運営費は、「人件費」と「飼料・肥料購入費」、「修繕費・作業委託料」がそれぞれ三分の一を占めます。

 まず、着手したのが飼料と肥料の購入費を圧縮することでした。これらは従来JAとの随意契約で購入していました。JAの利益が各酪農家に還元されるとの考えから、多くの公共牧場がそうしていました。

 実際は、1億円の取引に対してJAには2%(200万円)の手数料が入るのみで、それが各酪農家に還元されることはありません。ましてや生産基盤の強化に充てられることもありません。そこで、商系企業を含めた競争入札により価格を下げ、購入費用を圧縮しようと考えました。以前からJA浜中が系統取引にこだわらない方針で酪農家の経費を削減していたので参考にしました。

改革の効果はすぐに現れます。飼料を四半期ごとに、肥料は春に競争入札を実施したことで年間約3千万円の購入費が削減できました。また、当時多くの公共牧場が実施していた、肥料のヘリ散布を止めたことでも約2千万円が浮きました。残る赤字は5千万円。

それにしても、根本的に利用頭数を増やさなければ赤字体質からは脱却できません。表場長は、次なる改革として哺育部門の立ち上げを決意します。折しも国は、酪農家の規模を拡大し、スケールメリットで国際競争に臨もうとしていました。

規模拡大のためには、施設整備と後継牛の確保、糞尿処理、粗飼料確保が必要です。中でも最も難しいのが後継牛の確保でした。各酪農家の哺育はというと、事故率15%は当たり前、30%という酪農家もいました。

そうした問題のある酪農家からも子牛も引き受けなければならないため、職員が猛烈反対しました。表場長の改革に暗雲が立ち込めます。

……続く