No.30 下水汚泥と紙おむつのこと、そして大根の試験栽培
【下水汚泥と紙おむつのこと】
私たちが生きる上で絶対に欠かせないもの・・・・・。
「衣」「食」「住」は当然として、忘れてはならないのが排泄物の処理です。
30歳未満の標茶町民は、一時的に下水道が使えなくなった釧路沖地震(平成5年1月15日)を知りません。
そして、下水道の仕組みを正確に知っている町民も、そう多くはないと思います。ルルランの終末処理場と磯分内の衛生処理組合で発生する「汚泥」が、どれくらい発生し、どのように処理されていて、費用はどれくらいかかるかを簡単に解説します。
【下水汚泥】
下水汚泥とは、汚水を浄化する過程で不純物や微生物が沈殿・分離してできた泥状の固形物のことです。主に微生物の死骸であり、標茶町では年間約150t発生します。一般的に下水汚泥の処理には、15,000円/tから40,000円/tかかるとされています。
標茶町では、町営牧場から出る家畜糞尿と混ぜて堆肥化し、有機肥料として牧草地に散布しています。これによって、化成肥料の購入量が抑制されています。堆肥化施設と撹拌専用機械は下水処理施設の一部として町が整備し、育成牧場が堆肥製造の一環として運用しています。
ただ、堆肥化に課題が無いわけではありません。有機肥料として利用する際、人糞に含まれる重金属が濃縮されていることに配慮しなければなりません。最近は、有機フッ素化合物、マイクロプラスチックが含まれていることに注目されていますが、まだ対策には至ってはいません。
下水汚泥は、ひとりあたり20kg/年発生すると言われているので、人口が減少すると発生量も減ります。
【紙おむつ】
標茶町のごみ処理予算は、年間約3億円です。人口は減少し続けていますが、ごみの排出量は横ばい。そして、ごみ処理費用は年々増加しています。
ごみ処理費の増加は、人件費や燃料費、光熱水費の上昇のほか、プラごみが増えていることも原因のひとつと言われています。町民がプラごみをしっかり分別しているのにプラごみが減らない、むしろ増えている背景には、一般ごみの約7%を占める「紙おむつ」の存在があります。
少子化が進行しているのにと思うかも知れませんが、高齢化により大人の紙おむつは増加しています。さらに、コロナ禍で増えたと言われるペットの尿シートも侮れません。これらの紙おむつは、標茶町を含め多くの自治体で償却処分されています。標茶町も3億円の7%、つまり2千万円以上の費用をかけて焼却処分していることになります。
プラごみは、焼却炉の燃焼温度を上昇させるため、焼却炉の劣化につながります。特にロストル(路床)の交換には、6千万円以上の費用がかかるので、紙おむつを燃やさないで処理することができればごみ処理費の圧縮と、焼却炉の長寿命化につながるのではないかと思います。

