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No.7 議論するということ

2023/01/02(月)


冬期五輪札幌大会の招致活動が中止となる可能性が出てきました。これまで開催に賛成する市民が過半数をわずかに上回ったアンケート結果にもとづき招致活動が進められてきました。ライバルと目された候補地が財政難などを理由に招致を断念したこともあり、札幌開催が濃厚となる中での市民アンケート再実施。その背景には、五輪開催による膨大な費用負担と経済効果等に懐疑的な市民が依然として多いことに加え、昨年開催された五輪東京大会運営費にまつわる不正の発覚など、複数の要因があげられています。

 釧路市では支所・分所の廃止条例案が賛成多数で可決されました。廃止案が示されて以来、多くの市民が反対や不安を表明しました。市は、関連地域での説明会を開催して市民に理解を求めてきましたが、行政手続き等に関わる業界団体から「慎重に」との意見書が提出されたことを受け、議会への条例案提出を遅らせてパブリックコメントを募集しました。パブリックコメントの多くは、「反対」或いは「慎重に」というものでしたが、廃止条例案は市議会において賛成多数で可決されました。

 議会制民主主義では、住民の代表である議員からなる議会が「多数決」によって意思決定を行います。町の場合、議員は選挙によって町民に選ばれ、議会において立法という形で意思決定に携わります。しかし議員は、町民によってその意思を白紙委任されたたわけではありません。多数派であることを理由に議論を深めないことや説明責任を果たさないとすれば、それは「横暴」でしかありません。

では「議論」するとはどういうことか。たとえ多数派であっても、他方の意見や提案に理があるとしたら認める勇気をもって臨むのが「議論」であり、議会はその最高権威です。議論に際しては、なぜ賛成するのか、あるいはなぜ反対するのかを説明することが、町民を代表する者の使命であり義務です。しかし、そうした義務は十分に果たされているでしょうか。

議会には行政を監視する役目もありますが、議会内のパワーバランスによってその機能が十分に発揮されないまま標茶町の現在と将来に関する重要な施策が決定しているとしたら憂うべきことです。施策の決定過程にもう少し町民が関心を持つことが必要ではないでしょうか。実生活においてもネット空間においても、多数派であることを背景として議論を尽くさない、あるいは一方的に他方の意見を軽んじて嘲笑するような風潮が広まっているように思います。

よりよい町づくりに町民の声は欠かせません。自ら期待を込めて、はたまた反省を込めて町民の代表を選ぶ統一地方選挙が近づいています。その前に一度議会を傍聴することをお奨めします。これまで見えなかったものが見えるはずです。